墓参り

ばあちゃんの墓
そこに
ばあちゃんはいないと思った

慣れた様子で
まわりの草を刈り
土を掃き
新しいたわしで
墓石の汚れをとる
境内の階段すわり
モットチビリンコへおっぱいあげながら
水屋で
花供える筒洗うチビリンコみていた
ワンピース裾がぬれている
「ぬれてるよ」
教えると
「すぐ乾くから大丈夫や」
構わず洗っている
きれいになった筒
花供え
線香あげると
墓の向こう側
海はきらめく
ばあちゃんが建てた墓
娘3人が故郷離れ
誰に墓参り期待することもなく
ばあちゃんは二つの墓を建てた
先祖のそれと
戦死した夫と自分がはいる墓
ばあちゃんは墓にはいないと思った
だけどそこには
ばあちゃんの気持ちがある