春夏秋冬

鯛焼き
食べたくなった
外回り
行くという
同僚オーハシマさんへ
「買ってきてください」
たのむ

「やきやきや定休日でしたよ」
がっかりするも束の間
ノダさんから
東京みやげに
もらった箱
あけたらなーんと
その中に
鯛饅頭
はいってた
天下鯛平
という名のそれ
「大阪や神戸では売ってないでしょうねって聞いて買った」


会社倒産
通い始めた
職業訓練
隣の席にノダさんがいた
ワタシタチ
春夏秋冬
いつも一緒
図面描き
現場見学し
勉強おしえあった
ノダさんは
子育てしながら
仕事続けている女性
訓練校入った時
下の息子さん
小学校上がったばかり
なかなか学校慣れず
泣いてると
心配していたノダさん
そんな彼も成人し
4月には社会人らしい
ひさしぶりの
ノダさんは
髪がのび
トレンチコートを着てる
家庭用エレベータの営業ウーマン
「何言ってるの」
「子供は社会の宝ですよ」
「そんなの気にしなくていいの」
弱気なこころにしみてくる
ノダさんの静かな言葉
前を歩いてる人がいる
わたしもがんばろう
そうおもった
鯛饅頭
小豆と栗
かもしだす味でした