きんもくせい

chisatoyellow2009-10-14

チビリンコのピアノ教室


まり先生から
金木犀をもらった


テーブルの上に
置いた


じっとしてたら
匂わない


外から帰ってきたら


「あ、きんもくせい」


部屋歩くと
空気が揺れて


「あ、きんもくせい」


家の中で
きんもくせいが香ってる





ところで
もうすぐ運動会だ


チビリンコ
徒競走
スタートが遅い


まり先生が
ピアノだけでなく
スタートダッシュ


教えてくれたらしい


「よーいどん、
どんどんどんって合図してや」




習ったとおり家でも練習


よーいどんどどどんどん


と合図すると


「ちがうやろー
どんどどどんどん、じゃこけるやろ」


「どんどんどんどん!や」


夕飯のあとも練習




私は


走る練習
したことない




思いもしなかった


足が速かったのだ




だから
練習がんばるその気持ち


姿をみて
はじめて気づく



「まり先生は
運動会が好きじゃなかったんやって」


「走るのが遅かったから」


「だけど
音楽会は大好きだったんやって」


「気持ちがすーーっとなるんだって」


チビリンコがそう言った


そうか


私には
音楽会の記憶が全くない


ハーモニカを吹いただろうか
カスタネットを叩いただろうか


きんもくせい
きんもくせい
きんもくせい