鳥の子

玄関から入って
右が
うちの客間だ


客間へ続くふすまには


ひそかに
しかし
結構でかい穴が
あいている


穴も障子になら
手安くあくが


ふすまにだと
勝手は違う


穴をあけるのは
けっこうな手間だろう


いつ
どのように
そのような穴が
あいたのか


それは
ヤンマとタガが
客間に泊まったときだ


彼らは夫の
大学んときの友人だ


夜中にやってきて
ぐうぐう寝ていた





チビリンコとモットチビリンコが
起きると


いつも開いてるふすまが
しまっている


誰かいる


彼女らは
ふすまを破り始めた


ちょっとずつ

あけながら


何枚も重ねられた
ふすまの紙
破っていった





そのとき
一筋の光が差し込み


むこうが見えた


ぐるり見渡すと
ヤンマとタガが


腹だしてねてる





そんなわけで


客間のふすまに穴が開いたのだが


この度やっと


穴をふさぐ


鳥の子紙に
墨で絵を描いたのだ


その紙は
ふすまにも負けぬ大きさで


私は描いた絵を貼った




これで
覗かれることはないであろう


安心して
泊まりきてください


まる