お箸とピロシキ






タオノくんはお箸をつくってる
新作の箸を
おくってくれた


「まだ市場に出回ってません」


箸ってきれいだよな〜


毎日つかうものだし
生きるエネルギーを口へ運ぶものだ


役割はまさに
はしわたし


そんな道具をつくる
タオノくんの仕事は
きっと偶然じゃないんだろうなァ


おまけにタオノくんの住所
神宮寺というのだ


神に宮に寺
こんな場所ってあるかなぁ
すごいよね


お箸はたくさんあったから
わたしたちは好きなのを選んだ


チビリンコはキラキラ桜の模様がついたのを
モットチビリンコと我は好みがかぶる
キラキラ緑のを選んだのだった


それから
ピロシキもやってきた


リュウジくんが焼きたて配達してくれた





彼の手作りだそうだ
中3男子の手作りって
私、はじめてーー


日本ではピロシキというと
揚げたカレーパンみたいなイメージだが


ロシアでは焼くピロシキもあるんだそうだ
ミンチ肉と玉ねぎと人参と米粒が
中に包まれていた


「ごはんとパンがこんなに合うなんてナー」
生まれて初めて食べた夫の感想


うまかったです


そしてコリュウジくんへもお箸をあげた


「魔法の杖みたい」
たくさんの箸をみた彼はそう言った


選んだ箸は黒い星空のような一品


あとで手紙をくれた
「もらったお箸、すごくキレイです」


ほんとうにきれいだね