わたしの古賀先生

クミからメールがきた
「古賀先生が亡くなったね」
「今朝の天声人語にもでてるよ」
「学生の時もっといろいろ話聞きたかったよね」
87歳で亡くなられた古賀先生
ペンネームは宗左近
私たちは社会学部の学生だった
なぜか古賀先生はそこの教授
先生の講義はフランス語、文章論そして文学
フランス語の授業
[oi]はwaと発音する
「ボクは丸井oioiの看板はwawaとしか読めません」
先生がそういったから
丸井を見るたび先生をおもいだします
文章論の授業
「昼ドラマの主役女性が<夫を捨ててあなたと一緒になるわ>といい
家をでた」突然先生が読み始めた
「昼間こういうドラマをやっているわけですな、それをこの学生は見て
考えたわけですね」コメント入れる先生
「社会的に夫を捨てるのは正しくないことだ。
しかし、それにより幸せになる人もいる。それならその基準はなんなのか
わたしは知りたい。なにが正しくてなにが正しくないのかその基準を知りたい」
これは私が読んでもらった文章
そのとき先生がなんていうか
張りつめて聞いたつもりだったが
おぼえてない
文学の授業
先生の授業は大きな階段教室
「そこのあなた、どうぞ前へ」
指名されたのは隣に住んでたノジリちゃん
先生と詩の朗読
愛の詩
おとこ役を古賀先生
おんな役をノジリちゃん
ノジリちゃんはまっかになり
「ああ、あなた」というフレーズをよんだ
とてもうらやましかった
2年生になり
行きたいゼミを決める
「先生のゼミにはいりたいです、
先生はゼミをもたないんですか」
聞きにいく
「私はゼミはもたないんですよ」
先生は答えた
そうだよな
社会学部だもんな
文学のゼミはないよな
でもなんで
古賀先生は文学部じゃなく
社会学部で文学をおしえていたのかな
古賀先生に教えてもらえて
とてもとても幸運だった
御冥福をお祈りいたします