5月の高知は

イユキさんが
近所に越してきた


パンをもって訪ねると


次男のイシノくんが
折紙でイルカを折っていた


いれて貰った紅茶
飲んでたら


イシノくんと目が合った


そこで
ウインクすると


「こわいぃ」
「こわいぃ」




イシノくんは
目をそらさず
小さい声で
2度いった


「イシノくん
こわいっていうのは
こういう目のことやで」


そういって
今度は白目
して見せた


「おもしろいぃ」


喜んだイシノくんは
白目を習得したがった


これはむずかしいんや
2年生やそこらで
できる技じゃないで
などと言いながら


久しぶり
大きな声で笑った


自分には
おこると思わなかったことが
おこったり


どうなってるのか
わからなかったり


そんな気持ちで
過ごしていたこのごろ


「思いもよらないことが
おこるね」


イユキさんはそう言った


ほんとにそうだ


なにがおこるかなんて
誰にも
わからない


かえりがけ
イユキさんは
本をかしてくれた




「はれた日は学校をやすんで」
西原恵理子さんの本は


高知弁


こんなバカに
勉強 教えたち
どうなるぜよ


なんなー
中 なんちゃあ
入ってないやないか


そのかわり
みんなぁに
ないしょぞ


ふたぁりの
ないしょぞ


ほいたら
何でさがすろう


みんなぁ
しっちゅう
ろうに


高知のばあちゃんが
近所の人と
しゃべっていた
言葉だ


よんでたら
なつかしく
奈半利
いきたくなったぜよ