できること

父が手術した
お陰様で回復中である


執刀医の先生は
3時間という
手術の後にもかかわらず


休むことなく


母と私に
今行われた手術について
説明をしてくれた


机の上で
紙にわかりやすく書きながら
説明する先生の腕は
真っ白だった


きっと
手術中
はめていた手袋を
はずした直後なのだろう


説明の途中で
白い腕は
徐々に
その血の気を
戻していった




すごいなと思った




翌朝再び
父を見舞い
私は病院を後にした


最寄の
新富町駅から
地下鉄にのろうと


病院の正面東口から外へ出
ちょうど
西口が見える通りまで
歩いたところで


男性が倒れていた


近くにいた女性が
持っていた日傘を放し


「大丈夫ですか?」
と声をかけ
心臓マッサージをはじめた


周囲にいた我々へ
「誰か呼んできてください」
と呼びかけた


私の唯一の自慢は
透る声だ


西口から病院に入り


「助けてください」
「人が倒れています」
「担架を」


叫んだ


病院の前だったから


すぐに
医師と看護師が
走ってきた


倒れた男性は意識がもどり


ストレッチャーで病院内へ
運ばれた


すぐさま
心臓マッサージを施した
通りすがりの女性も


かけつけた看護師も医師も



一生懸命だった


私はなんだか
胸がふるえた




冷静に
落ち着いて
自分ができること


精一杯しなくては
いけないのだ


それが生きていく
使命なんじゃないか


そう感じた




そんなわけで
帰りには
有楽町三省堂にて


チーム・バチスタの栄光(上)・(下)」
購入


読書部門についても
おくれる私


遅ればせながら
読書中