和心庵

ねむの木村
掛川駅からバスに揺られ22分


村には
川のせせらぎ
たんぼのすすき
鎮守の森もある


そしてねむの木村の美術館は
「どんぐり」
「ねむの木緑の中」
という名を持つ2つのそれだ


美術館については
そこに飾られている絵だけでなく
その建物自体もすてきだった




しかし
もっとすばらしかったのは
美術館ではなく


同じく
村の中にある
吉行淳之介文学館


その中庭にある
「和心庵」という茶室


そこで
御手前をしていた
本目俊光さんという方だ


本目さんは
着物袴姿でその手つき
美しい


ぜんぜん分野は違うだが


私の絵のセツコ先生


彼女が
筆を滑らせる時の如く
静かで軽く宙を動く
筆に水を蓄える
節目でほんの少しとめる
瞬間のその手つきに似ていた


本目さんは
御手前をしながら
話をした


「美術館にいかれましたか」
「奥の美術館には小さい子の絵があります」
「絵は好きですか」


などなどだ


本目さんに好きな画家の名前を聞くと


ゴッホやクレーが好きです」


「まり子先生は感動しなければ
感動するものはかけない、というので
美術館へ絵をみに行きます」
そう言った


まり子先生とは
宮城まり子さんだ


つづく