ジュエルペット

モットチビリンコ
保育所で今
女子に人気のキャラクター
それはジュエルペット


ある日手芸屋にて
「生地入荷! ジュエルペットの新物!」
モットチビリンコはその布を抱え
「かってかってかってかって〜」
コールが今日も店に響く


「おねがい!かって」
「とにかく!かって」


お・ね・が・いぃ〜
と・に・か・くぅ〜


この2つのセリフが多い彼女


なんでもこれで
ワンピースをつくってほしい
というハイレベルなお願いだ


うーむ
ワンピース買うより安い・・・と考えた私は
生地を1m購入したのであった


しかし
いくらミシン踏むのが好きとはいえ


もっぱら私の専門は
巾着袋のオンリーだ


中1の家庭科で
スカートを作った時


緊張の生地裁断の後
ほっと一息、あたり見渡すと


私のそれは、みなのそれより
一回り小さかった


何故だ
体型は平均並なのに
何故に小さい


それは
縫い代を設けず
出来上がり寸法で
生地の裁断をしてしまったからだった


そんな私が
ワンピースなんて技術がいるもの
つくれるであろうか


家にある既製ワンピースを見本に
大体の型をとり


それから縫い代
これは忘れてはならぬ


そして裁断


なんとなく仮縫いし


ダダダダと勢いで縫う


そこへ
チビリンコの友達が2人遊びに来た


「何作ってるの?」
「あ!わかった、エプロン?」


悪意なき無垢な少女たちの言葉に翻弄されることなく


縫いあがった新物ジュエルペットのワンピース


モットチビリンコ、さっそく試着すれば


それはまさにエプロン姿であった


しかし
せっかくつくったのだ


気に入ってもらわねばならぬ
着てもらわねば丸損である


ほーらこのワンピースはね、エプロンにもなる最新のスタイルだよ


などと彼女を説得した


しばらく鏡をながめた彼女は
「気に入った」
そういって
「よごれたらいけないから、しまっとく」


たんすの中、奥へ奥へしまったのであった


モットチビリンコよ
もうエプロンでいいから
次のクッキングで着用しておくれ