スナガくんの粘土

3連休は集会所の文化祭
朝から受付に座ってます




ところで
小学校の公開週間は終わった


となりのクラスのモトヤマ先生は放課後
校庭夕暮れの中
男子たちとサッカーしてた


学校はいいなぁ


参観中
私が釘付けになった男子
それはフウガくんだ


一番前の席
ひょうひょうとしてる彼は
休み時間になると
授業中は足元に置いてある虫かごを
机の上にのせカマキリをとりだす


虫かごん中には草やバッタの死骸が入ってる
かまきりのえさだそうだ


「今、えさ、あんまないねん」
ちょうど端境期でえさがなかなか見つからないわりに
彼のかまきりはよく太ってる


休み時間
私もかまきり見せてもろた


あ、自分の触覚食べてるで!
と言うと


「これしょっかくの掃除してるんや」
フウガくんは言った


フウガくんは
いつもかまきりを見ている


かまきりが飛んだら
おいかけてつかまえる



かまきりと登校し
夕方
かまきりと下校する


かまきり
いつもフウガくんと一緒


フウガくんを見ていて
小学5年と6年の時
同じクラスだったスナガくんを思い出した


スナガくんは
小柄だ


ほとんどしゃべらない
だからスナガくんの声はおぼえてない


休み時間は机でいつも
粘土を作ってた


めっちゃ上手だ
仮面ライダーとかそんな人形を
精密につくってた


スナガくんはしずかだ
いつもしずかにそこにいた


授業中一度も手はあげない
学級会で発言したことはない
宿題もあまりしてこなかった


しかしちゃんとクラスに参加してる


だから
担任のタナカハルエ先生は
スナガくんはそれでいいよというように
スナガくんを怒ったことは一度もない


スナガくんの席は
スナガくんの学校での
確固たる居場所だった


そして
一度もしゃべったことがないけれど
こんなにながく記憶の中にいるスナガくん




わたしはやっぱり学校が好きだ


しょうらい
再び学校で働きたい
働くぞ