今日はちょっと長いです

保育所の保護者会では卒業アルバムを毎年作ってる
そのアルバムつくる係りになった


同じ係りのお母さんは私のほかに4人いる
けっこうやることは多く
月に2〜3度は集まる


そのアルバムに
保育所先生方の顔写真も載せたい
ということになった


しかし
所長先生が写真はいやだと言うではないか


所長先生は女性だ
市内の保育所において
私は男性の所長先生を見たことはない
それどころか男性保育士もみたことはない


女性の職場である


うちの保育所のその所長先生は
威厳がある


所長ならではの威厳だ


私はいつも彼女と話すと
「ハヤフジさん、そういうこと言ってるんじゃないんですわ」
などと上司にたしなめられているような感覚におちいる


いつもびしっとやられて
会社勤めの時の気持ちになるのだった


勤めていたときは
上司からもお客さんからも
よく怒られたり注意されたり
時にはしくしく泣いたりしたが


今や家で1人もくもく過ごしていると
だれも私を怒ったりしない


そんな生活のスパイスとして
所長先生にびしっとやられたりすると
それはそれで
よっしゃみとれよと
気持ちがフレッシュマンに戻るのだった


今回も所長先生が
顔写真はごめんだというので
しつこく理由をきいてみたらば


「あぁ、もう、ハヤフジさん、あのね
私、もう年やし、写真はちょっとね」


ぽろっとそう言って走って行った
所長先生は忙しいのだ


そうかそれでは
なんとか写真を撮らせてもらおうと
私の血は騒いだ


そこで反射板を作った


ダンボールに白い紙を張り
ダンボールに白い布を張り
ダンボールにアルミを張り


3種類の反射板を作成したのだった


そして
同じアルバム係のお母さんを被写体に


1、なにも使わず撮影した顔写真
2、反射板(紙)を使い撮影した顔写真
3、反射板(布)を使い撮影した顔写真
4、反射板(アルミ)を使い撮影した顔写真


を撮影した


反射板の効果はあらたかで
中でも2、白い紙をはった反射板(プロはレフ板というらしい)は
ぱぁっと光があたり、こまかいしわや小さい事はまぎれてしまう


3割は若返るんでないか


これを一覧表にし
所長先生へ渡した


彼女は顔が16枚ずらっと並んでる写真手渡され
眺めると困惑した


そして
果たして所長先生は
なんと写真撮影の許可をくれたのだった


忙しいのにこれ以上ハヤフジさんから
しつこくされたらたまらない
そう思ったのかもしれない


そして
写真撮影当日
お天気も我ら撮影班を祝福するがのごとく晴れ渡った


とどこおりなく
所長先生をはじめ先生方の撮影は行われた


任務はこうして遂行されたのだった
めでたしめでたし




とおもいきや


撮影会を終了し
カメラマンのツモトさんが
撮影写真を確認すると


ななななんと


所長先生の写真だけが
映ってないではないか


なぜだ
どうして
所長先生だけ・・・


私は推測した
これは
所長先生の「写真はいやだと言うてるでしょ」エネルギーが
精密機器であるカメラへ波動として伝わり


映像を焼き付けなかったのではないか


我らの敗北だ


所長になるような人はやはり
底知れぬパワーをもってるのだった


かなわない


まだまだ修行がたりぬと身にしみた冬の日だった