荒野の果てへ

腹をたててばかりいる


とにかく夫へも子どもへも時には自分へも
腹はいろいろたつのだっだ


チビリンコは勉強を私に聞いてくる
「チイ、宿題わからんから教えて」


教えると


なんでちゃんと文章よまんのやっ
とか
ちゃんとていねいに書かないから間違えるんやでっ
とか
こんな簡単なのなんでわからんのやっ
などと
とても腹がたつのだった


簡単だろうが難しかろうが
わからないのはわからないのだ


そんなふうに腹をたてられ
彼女にしてみれば
宿題がわからないだけでなく
なんでわからんのやと
理不尽にせめられて
いやな気持ちは倍増である


なぜにこんな
腹がたつのだろうと
しばし考えた


その昔
家庭教師をしていた時
もしくは
赤ペン先生をしていた時
「キミ、なんでわからんのやっ」
などと腹をたてただろうか



それでは給料がもらえない
相手はお客さんなのだ


お客がわかるように教えれて
初めてお金がもらえるのだ


なるほどそうかお金がからむと
怒りは静まるのだと気づいた


そこで
回数券を作成した


「おこらない券」


これは10枚つづりで一冊100円だ


「私が腹をたてそうになった時
この券をさっと1枚提出すれば
わたしはその怒りを静めます」


そんな券である


買うか買わぬかは自由だ
チビリンコへ
一冊いかが〜?と見せると


「買う買う」
彼女は二つ返事で
こんなのがほしっかたんやというように購入と相成った


それからというもの
宿題の質問があるたんび
「おこらない券」
机からとりだして質問にのぞむ彼女


果たして効果は増大で
お金をもらってるんだから
という気持ち
そして
彼女はお客さんである
という意識が芽生えると
腹立ちはぐっとおさまるのであった




腹立ちがおさまるといえば
私の通う淡彩画教室には
年配の女性がたくさんいる


彼女らは60才代だ
定年まで仕事をし続けた人ばかり
彼女達の話はめっちゃ勉強になる


夫も自分も定年後
自宅で夫と2人の生活


どのようにのりきっているかと話をしてた


「私はナー」
おしゃれで素敵なウラさんが言った
「夫は大きな犬だとおもってるの〜」
「ペットと思えば世話に腹がたたないわ〜」





腹の虫をおさめるために
様々な工夫をしてると知る淡彩画教室の昼下がり


いかりよ
荒野の果てへ去りたまえ去りたまえ