ひと足はやいクリスマスパーティーをした


保育所の卒業アルバム一緒に作るお母さんと
その子ども達とだ


子どもらはプレゼントを持ってきて
クリプレ交換(注:クリスマスプレゼントの交換)
行うこととなった


ケーキも食べおわり
さて交換しましょうと
準備してきたものを持ちより
子どもらは輪になった


クリプレ交換といえば


1、時節にあった歌をうたう
2、それにあわせてプレゼントがぐるぐる回る
3.歌い終わったその時に手にしたそれが自分へのクリプレ


というのが定石であろう


さて、なにを歌いましょうと皆が思案し始めたので


きよしこの夜」を私は提案した


「きよし?」
活発なノノカちゃん(6才)が反応して歌い出した
「ずんっずんずんズンドコッきよしっ」


あれ、ちょっと違うねと
きよしこの夜を歌ってみせると


そこにいたチビッコは
だれ1人として知らないではないか


「ズンドコでいいよ」とチビッコたちは言い


ずんずんずんズンドコと歌いながら
プレゼントを回してみるとこれはもう
クリスマスだか盆踊りだか季節感はない


そこで協議の結果
「うさぎ野原のクリスマス」
にておちついた


なんでも現在保育所にて
クリスマス会に向け練習中らしい
イムリーな一曲


チビッコたちは
歌い始めるとエンジンがかかり
元気一杯歌い続けとどまることなく
2番に突入する頃には
プレゼントの一部が手から手へ渡される衝撃で
中身がぽろりぽろりとこぼれはじめた


そして
ようやくプレゼントを手にし
中身をあけてみると


こぼれおちたあれ、よかったナ
とか
じぶんのが当たりたかったナ
などと
皆それぞれ胸中は複雑である




クリプレ交換というのはいつの時代も複雑なのだ


ここで私が深く思い出すのは小学3年の時だ


なにやら大きく固そうなモノを新聞紙に包み
クラスのクリスマス会に参加したヤチくん


プレゼントをシャッフルしてから
交換会が始まった


この時の歌は、定番の「きよしこの夜」


歌が終わった時
彼は再びその新聞紙の塊を手にして呆然としていた


紙を解かなくとも中身をすでに知っていたので
ヤチくんはそのまま家へ持ち帰るはめになったのだった


私はヤチくんと同じ方向に住んでいたから
あとからついて帰っていると
ヤチくんの声が聞こえた


「これ、戦車のプラモ。もう飽きたからだしたのに」
友人へ話していた
「くっそー重い・・・」


あぁ、あれがあたらなくてよかった
そう思いながら私は
自分が当たった赤い手袋握りしめ家路につくのだった


ところで
きよしこの夜」


わたしはきよしって
エスキリストの和名だと思ってました


エス・清・キリスト
なのかと思ってたら


違うよと
教えてもらったのだった