ニッチ

私は今壁に穴をあけている


素敵なニッチをつくるのだ
ニッチって壁の中にへこんだスペースの棚である


私が目指すのは風が通るツーツーのニッチだ
ゆえに壁の穴をこちらからあちらへ貫通させねばならぬ


それも夫に気づかれず任務を遂行せねばならぬ


なぜならうちは社宅だからです


以前
壁紙かえてやろうとひそかに思い
すこしずつ壁紙をはがした
30センチくらいぺろんとめくれたあたりで
夫は気づき「お願いだからやめてくれ」と言った
だからそこはぺろんとはがれたまま
我々は今も日常生活をおくってる


さて今回はなんとしても成功させたい
そこで計画を練った
まずその計画の名をプロジェクトNとした(ニッチのN)


とあるセミナーに参加し
「名」というのは非常に重要であると学んだ私は
成功には何事にも名が必要と知ったのだった


さてプロジェクトNの目的は
暑い夏にそなえて玄関と洗面所に風を通すことである


うちの玄関は暑い
洗面所も暑い
なぜならそこは開口部も換気扇もない場所だからだ


もちろん玄関は出入り口だから
あければ涼しいが
あけっぱなしというわけにはいかぬ


4月の家庭訪問では
かたくなに部屋へは上がりませんというウズケン先生へ
仕方ないのでいまさっき完成したアートバザール販売用の椅子を玄関に置き
座ってもらい面談した


しかし腰掛けたものの
そこはやはり砂漠のように暑く
ウズケン先生は滝のような汗をだくだくとかいていた


そんなわけで灼熱の玄関に爽やかな風を呼びこもうという目的である


同じく洗面所も閉鎖的な空間じゃのうという感じで
ここに風がとおればそれは高原のようなスペースになるであろう


そんなわけでネクストいきます
プロジェクトNの方法
「玄関と洗面所の間にある壁へ穴を開ける」


1、石膏ボードを支える間柱や胴縁の位置を確認
2、間柱や胴縁がない場所を錐でずんずん穴あける
3、穴からちび鋸で切っていく




とそこで光がみえた
あちら側の光だ・・・!


穴が開通する喜びというのは
青函トンネルを作ってる人たちの
「おーい」「きこえるかー」
「あ!聞こえる」「おーいおーい」
「光がみえたぞー」
などという聞いたこともないであろう声が
きこえるんじゃないかと思うほどのものだ


とりあえず本日は3センチ×6センチの穴を開けた
ひとまず作業はここまでだ


玄関側にはからすの絵をかざり
洗面所はタオルをかけて穴を隠した


計画はわからないよう
もれないよう遂行せねばならない


素敵なニッチができてしまえば
「やめてくれ」と夫はもはや言わないであろう
もうできてしまってるからです


よし、明日はコーナンで窓枠となる木をみてくる


プロジェクトN遂行中