カチョー

わたしは
なにを隠そう
靴下教の教えを実行する会員だ


靴下教の開祖によると
体温は
足元が31度
上半身が37度となんと6度も差があるらしい
そして
体のなかでのこの温度差が
体調バランスをくずす要因になっているというのだ


なるほど


だから
足元をあたため
上半身を薄着にすると
体温差が縮まり
風邪をひきにくくなるそうだ


なるほどなるほど


そして
靴下をたくさんはくと
汗が足裏からでていく


汗となって体の毒素が一緒にでていくので
体は健康な状態へむかうのだ


なるほどなるほどなるほど


靴下の素材にもいろいろ言及されており


絹は体の汗を吸い出す力をもっている
そして
綿はその吸い出した汗を吸収できる容量がある


だから
まず
1枚目に絹をはき
2枚目に綿をはき
3枚目にまた絹をはき
4枚目にまた綿をはき


てな具合で枚数を増やしていくと効果効率がよいそうだ


なるへそね〜


わたしは30を越えた頃から
秋口にいつも風邪をひき
冬場はずっと風邪を引き続けており
年中副鼻腔炎であった


なんとか
健康法を模索中であった


靴下の教えを知り
さっそく実行したのだった


すると


とつぜん夜中
ねていると
腕が痛くて痛くて
ねれなくなった


右の上腕だ


夜中にいたくてしくしく泣くほど痛かった


靴下を履きだしたその夜から傷んだので
これはもう原因は靴下でしょうと思い


靴下教の先生へ
電話をかけて訴えた

私の話をじっときいていた先生は
「腕が痛いんですね?」
「上腕ですね?」
と確認し


「それは…」


それは?


「食べ過ぎです」


先生は断言した


「あなた、甘いもの、たくさん食べてるでしょ」
「腹7分をこころがけてください!」


そう言われた

靴下をたくさんはけと言われたら実行できるが
食べ過ぎですといわれても
なかなか食べ過ぎはやめらんない


かなりながいこと
わたしはよる寝るとき
腕がいたくてしくしくないてたと記憶する


しかししかし


靴下の効果はめきめきと頭角をあらわし
わたしは
秋口に風邪をひかなくなったばかりか
副鼻腔炎が完治したのだった


そんなわけで
わたしは靴下教の教えを守る人である


ところでもうひとつ
わたしの肩書きはなにかと問われれば


それは「家長」だ


こないだ
「あなた、お仕事はなにをされてるの?」
と質問され


「専業主婦でーす」と
回答したら


その場に一緒にいたエイコさんが
「あなた、専業主婦っていうのはね〜」
「家事や育児を一所懸命やる人よ〜」
と言ったのだった


なるほど
さすがエイコさんだ


わたしは家に一番長くいる人というだけで
専業的に主婦をがんばってるわけではない


ただ長く家にいる人だから
それではそれは家長だろう


そこで
「家長でーす」


と答え直したのだった


そういえば
むかし大学生のとき


研究室で一番長い時間を過ごしているから
「室長」という肩書きを与えられたことがあった


ウメツ研究室 室長
これに次ぐ自慢できるよき肩書きである


家長


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家康と信長の略みたいでかっこいい呼び名じゃないか