500円

19歳からハタチ
新宿のじいちゃんちに居候してました
じいちゃんは理容師
新宿2丁目に店があるです
成人式の1月15日
「ハタチのなったから厄払いをしておいで」
ばあちゃんがいいました
「花園神社へいっといで」
11月の酉の日
酉の市で有名な神社です
近所なので
私も妹も親戚みなここで七五三を
やりました
じいちゃんちには
店を継いでるおじちゃん家族がおり
一番チビなムー(小学4年男子)と
居候の私は
暇、という共通点でなかよしでした
一緒に
スーパー丸正へお買い物にいったり
中島みゆきのレコードきいたり
ムーは中島みゆきでは「アフリカへいきたい」
がお気に入りだったです
その日も暇な私とムーは
一緒に厄払いへいきました
といってもお賽銭なげて
がらがらふって拍手でおしまい
ふたりで神社をうろうろしてたら
見世物小屋が来ている
なんと、蛇女をみせているらしい
「顔は人間、首から下は蛇」
呼び込みのおっちゃんが大きな声で
私とムーとその他大勢に話しかけます
「見物料はたったの500円」
みたい
是非みたい
財布の中をのぞくと
200円
「みたいの?」
ムーが聞きました
「うん、300円もってたらかして」
「もってるけどいやだよ」
「ちゃんと返すよ」
「いやだよ、帰ろうよ」
おっちゃんが舞台の袖から
蛇の尻尾をちらりみせました
かなり太い
次々見物客が中へ入って行きます
結局30分ほど二人は
みたい、やめようよ、をくりかえし
ぐずぐずしてたが
寒いね、だね、帰ろうか、と
家へ戻りました
その6年後
蛇女の見世物小屋
弘前城サクラ祭りで再びであったです
500円
働いてたのでお金は持ってました
みたです
あの時ムーのいうとおり
見なくてよかったです