風の子さっちゃん

「デッドエンドの思い出」


吉本ばななさんの短編集を
職場のミカナさんが
貸してくれた


どの話も
始めの1行が
おもしろく


どんどん読みたくなる


「きっと
たくさん文章書く練習
してるんだろうな」


ミカナさんへ言うと


「ハヤフジさんは
毎日日記
書いてます?」


ミカナさんが聞いた


書いてない
って答えると


「私は毎日書いてます」
「子どもの頃から
ずっと書いてます」


そういった


「もしもミカナさんに
万が一のことあったとして」


「日記が発見されて
本にされちゃったら
どうしましょう」


私が言うと


「キャー
そんなん
恥ずかしくってミカナ
しんぢゃう
もう死んでるけど!」


ミカナさんが言いました


ほんとほんと
そりゃ恥ずかしい


私は
日記こそ
書いてないが


小学生の頃から
漫画をかいていた


主人公は


津島幸子
という女の子


題名は
「かぜのこさっちゃん」


さっちゃんの子ども時代から
大人になるまでの
ちょー大河ドラマ


いつも
机に向かい


さっちゃん主役の
漫画ばかりかいていた


母は
「チサトは
あんなに机へむかい勉強してるのに
なぜ大学おちてばかりか」


疑問に思っていたと
思うが


机に向かい
絵を描き
疲れたら居眠りばかりしていた


その超大作も
大学進学
上京のため


押入れから
屋根裏へ
隠した


妹を肩車し
屋根裏のおくの奥へ
置いてもらった


阪神大震災があり


家は半壊


とり壊されることになった


わたしの
超大作は
がれきとともに
消えていったのであった


まる