続 スケート

町で
セツコ先生に出会った


彼女は私の絵の先生だ


「あら、ハヤフジさん?」
セツコ先生が言った
「白い運動靴なんか履いてるから」
「学生さんかと思ったわ」


セツコ先生も人を喜ばすの上手


私の靴は
男子中学生が学ラン下にはいてる通学用のそれだ


これはいてると
カクジツ若くみられる


その出来事
夫に報告すると




「学生サンて思ったワ言われたらな・・・」
夫が言った


うんうん


「外国ではな・・・」


ほうほう


「皆怒るんやでっ」
「若く見られたっていうのは」
「下にみらてれるって怒るンや!」
「喜ぶことと違うンや!」


え、そうなん?


「そうや」
「テレビで50代の人が
20代にみえる〜とか言って番組にでてくるけどっ」
「白い運動靴はいて中学生っぽくして喜んで」
「それはそんなテレビのひとと同じくらい」
「恥ずかしいことなんやでっ」


そうなんや
ところで
外国ってどこ?


アメリカとか
ロシアとかポルトガルとか・・・」


ふうん






ところでそんな夫


アイススケート好きが講じ
インラインスケート習い始めた彼は


ちょっとずつ上達し


4級の腕前になった


どうしてもどうしても
マイシューズが欲しいと


小遣いをためにため


道頓堀橋北詰
スポーツタカハシ
「スポタカ」へ


2日間かよい迷いにまよい


ついに購入とあいなった




うれしくて
家の前でも練習




そしてある朝、発言した
「ちょっとインラインで通勤するわ」


かばんに
インラインシューズつめ始めた


え?


通勤において
申請外の方法で通ったら
労災おりないよっ!


しかも道路交通法76条
ひんぱんな道路でスケートは禁止やでっ!


言って止めても聞かぬ夫


「いってきま〜す」
と出勤する彼の姿をみて
おどろいた


めっちゃすごい荷物だ


いつもの通勤スタイルを1とすると


その日の彼は、ざっと6だ


こんな荷物で電車に乗ったら
それはちょっと見ものだろう


私は以前
JRが国鉄と呼ばれてた頃
山手線で


たんすを運ぶ2人組み
見たことがある


彼らは
池袋で乗車し
そーれ、えっほえっほと
大塚で下車していった


おそらく
電車による引越し
実行してたのであろう


小学6年生ん時みた
衝撃の出来事


玄関先で
それ
思い出した


すごい荷物だね・・・
そう言葉をかけると


「・・・うん、めっちゃ重い・・・」


そういって


彼は3秒ほどで
インラインスケート通勤
断念したのであった




まる