風福

私はなんだか龍をみた


金曜日は嵐


それでも
昼前まではよい天気で
布団など干したりしてた


それから
社宅の裏の草むらへ
外構周りのチェックへ出かけた


「よし」「ここもよし」
などと1人で目視確認


ふと
足元見ると
靴下と靴へ
引っ付き虫が
ごまんとついてた


次に
空を見上げると
風がびゅービュー嵐のようだ


葉っぱはおそろしく飛び散り
チビリンコの言葉借りれば


鳥たちが
いっせいに飛び去ったかと思うくらい
空には葉っぱが舞っている



そのとき
雨が降り出し


布団とセンタクモン取り込みに
ダッシュでうちへ戻ると


もうすでに
雨が風が吹き荒れている


遊歩道を持久走してた
体育中の中学生たちは
突然のどしゃぶりになすすべもなく


走り続けるしかない


私はというと
ベランダから全てを救出し
戸をしめた


雨粒が激しくガラスを叩く




しばらくすると
雨は上がり


光がさした


しかし風は変わらず強い


海の上にある
一団の雲を見た


次の瞬間
風に雲がちぎれて飛んだ


そのとき不意に
それはあらわれた
不本意な様子であった




ひもみたいに長く
縦にくねくね白いそれは


一瞬空を
風にふかれて飛んでいた




秋の嵐


龍も木々もまるはだか