看護覚え書き

木曜日
いとこのマー姉ちゃん
学校見学へいった


マー姉ちゃんは看護師を志す


学校の入口に
ナイチンゲールの像があった


私は見学のあと
ナイチンゲールが頭から離れず


フロレンス・ナイチンゲール
「看護覚え書」
手に入れた


ナイチンゲールは有名だ


だけど何故だ


どうして
ナイチンゲールの名前しか
私は知らないのだろう


あらゆる学校で
ナイチンゲールの名を教えることよりも


ナイチンゲールが我々に教えていることを
教える必要があるんじゃあないか






中国から来たリンさんが
上海へ帰ることになった


「日本が中国にしてきた映像を
学校では繰り返し授業で見せるけど」


リンさんが前に言ってた


「もっと生活が豊かになることを学びたい」


その、生活が豊かになる方法は
この「看護覚え書」の中にも書かれてると考える




何故に学校では
「看護覚え書」を教えてくれなかったのか


いや、私は授業中
ぼんやりばかりしてたから聞き逃したか


小学校でも中学校でも
高校生にも大学生にも


もちろん大人も男も女も
中国人も日本人も
イギリス人もアメリカ人も
インド人も


社会の子どもを育ててる全ての人が
知りたい内容だと思う


ナイチンゲールは辛らつ且つ的確だ


大切なことは
呼吸


新鮮な空気
清浄な水
清潔
日光


そうだ
きっとそれらは
大切だと教わったかもしれない


だのに


確かに大切かもしれないけど・・・
などと
おざなりにしてきたのは何故だ


真剣にそれを大切だと学んでないからだ




本には


観察という文字が
何度も何度も出てくる


観察することは
正確な観察の習慣は
確かな認知能力を身に付けることは
教育の目的のひとつだという


献身だけでは役目は果たせぬ
正確な観察力が必要なのだと




マー姉ちゃん
学校を後にする時
私は
ナイチンゲールの胸をタッチした


それから
マー姉ちゃんの胸にタッチした


「うわ、なにしよん」
いきなり胸さわられたマー姉ちゃんが言った




我とマー姉
ナイチンゲールを胸に