宿舎の掃除

送別会で泣いたことがある
加古川の職場去るときだ


それは
加古川プラザホテルで行われた


私を含め
人事の異動や退職で
確か5人まとめての送別会であった


宴もたけなわ
ひとりひとり挨拶のとき


私は途中で
こらえきれず泣きだした
しかも号泣である


その涙は
この仕事をやめることになった
くやし涙だった


6分くらい泣いただろうか
それでも涙は止まることを知らず


会場は哀れ
泣き声だけが響いた


やっと
同僚のテラさんが


「ハヤフジさん、もうそれくらいでいいでしょう」
声をかけてくれた


そうすると
ちょっと気がほぐれ


私は最後まで
しかし鼻水はながしたまま
挨拶することができたのだった


席に戻ったあとも
皆が気の毒がって


隣の科のウチさんは
5年間ほとんど話したことなかったが
「ホラ、元気だせ」
横に来て
即席の手品など見せ
はげましてくれたほどだ


50人もの人前で
5分以上
それも注目浴びながら
おいおい泣くというのは


みなさんご経験はおありだろうか


それがどんなものかというと
それはそれで
けっこうすっきりするもので




くやしさ
ふあん
さびしさ
いかり


そんな様々な感情が
かなりすっきりしたのだった


それから4年がたったが
私は今でも
宿舎に住んでるで


ここには
あの号泣を知る人が何人かいる


その1人はテラさんだ


そして本日
宿舎掃除の日


落ち葉とごみを掃きながら
「ミライさんは沖縄ですよ」
テラさんが教えた


元同僚、ミスターミライ
「ウンコワデルノ」点検ですか?」転勤でこの春
沖縄へ行ったのか




かの地における日中温度20度
春こしてすでに夏