わらびもち

豊中へ行った


中学3年から浪人予備校時代まで
過ごした場所


その期間たったの5年
けっこう短いのだった


しかし
多感な、悩み多き、切ない
そんな学生時代のメインをすごした場所ゆえに


ふり返るとそれが
16年にも26年にも感じるのは何故だろう




チビリンコとモットチビリンコと3人で
豊中高校から豊中駅まで歩いた


途中
稲荷神社で遊んでいたら


「うんちがもれそう」
モットチビリンコが突如言う


急いでダッシュ
目の前のスーパーライフへ行く


何度もお使いに行かされた店だが
トイレが2階にあると初めて知る


うんこもすっきり
坂道を下り
めっちゃでかい豊中名物スクランブル横断歩道を渡る


商店街に入ると
バイトしてたチェリオはもうなかった


しかし建物の南西角
鋭角に存在する「ぐう」という店
昔の姿のまま営業中
ここでなめした皮のポシェットを買ったことがある


通りをはさんで向かい
豊中きたら必ず寄るのは
和菓子の「香月堂」
本日もちゃんとその場所で開かれてた


ここでは絶対
「わらびもちください」だ


それなのに


「まだ作ってない」
いつものおっちゃんが答えた
「6月から7月はいる頃やな」


めっちゃがっかりしていると


「買って買って買って〜これ買って〜おねがい〜」
モットチビリンコがかしわ餅を発見した


2つ買うと待ちきれず
店先の緋もうせんひかれた床机に腰掛け
彼女はもぐもぐ食べはじめ


あっという間に2つ食べ
「あと5個食べたい」
そう言った


香月堂
わらびもちだけでなくかしわ餅も絶品なのだった


かしわ餅堪能した腹が一杯のモットチビリンコとは裏腹に
わらびもちに心を残した私は
帰りの阪急電車に揺れながら
わらびもちわらびもちわらびもち
わらびもちがどうしても食べたいと頭が一杯


そこで
我慢できず駅前の和菓子チェーン店にてわらびもちを買う


「極上本わらび」と銘打ってあるそれは
私にはちょっとかたすぎだ


やわらかいのに千切れない
ふるぷるふるえるわらびもち


それが我にとって極上


あぁわらびもちわらびもち7月待ち遠しいわらびもち