白球を追う

髪を切った
一層短く切った


髪を切ってくれるタブチさんは
いったんきり終わると


「どうですか?」
私に尋ねる


そこで
もうちょっと
もうちょっと

更に更に切ってもらっていると


タブチさんの手つきは
美容師を超え、庭師のそれになっていった


まるで
芝をちょきちょき
松をちょきちょき
そろえていくような


わたしの荒れた頭の畑は
きれいなガーデンへなっていくのだった


「もうこれ以上切るとなると」
タブチさんはある時手を止めて言った
「刈り上げです」


そして
私の短い髪をぎゅうっと押さえ
「刈り上げるってこんな感じです」
そう説明した


ほう、これではまるで
甲子園球児だ


もしくは
散髪用ケープかぶるテルテル坊主だ


どちらにしても女子ではない


それじゃ、今日はこのへんでと
刈り上げの手前で
美容院をあとにしたのだった


学校から帰ってきたチビリンコは
私の姿を見ると
「・・・お願いだから」
「もうこれ以上切らんといて」
そういった