清里ミルク

新学期が始まり
朝夕すこし涼しくなってきた
ほっとする
ありがとうありがとう涼しい風




白馬から姪っ子エデンが遊び来た
彼女は中学1年でおしゃれな女の子だ
そんな彼女が首から栓抜きを下げていた


その栓抜きを見て思い出すのは我が愛読書
井上靖氏の「北の海」である


主人公の洪作は仲間と海を見に行く
電車でいこうと思案中
金石運送のトラックをみつける
金石は金沢を流れ日本海へ注ぐ犀川の河口がある町だ
彼らは交渉し
配達手伝う条件でトラックにのせてもらうことになった


荷降ろしをすると差し入れがもらえる
例えば乾物屋ではサイダー
寺町では牛の缶詰めなどだ


たまに何ももらえぬ場合があると
そのような店はもう長くないないだろうと
洪作たちは口々に言うのだった


さてここでその牛の缶詰めを食べる時
缶きりがなければ食べられぬと思うのだが
彼らのような学生は缶きりを必需品で片時も
肌身離さずもっているらしいのだ
そして
彼らは牛の缶詰めを難なくあけ食べるのだった


ここで話はエデンにもどるが
彼女もきっと彼らのように
サイダーやプラッシーなどのビンジュース
いつでもどこでも飲めるよう
栓抜きを身に着けてるのか
それとも身近な道具をアクセサリーに工夫してるのか
どちらにしてもさすがエデン
そこらの女子中学生と一味違うと思っていたら


よくみるとそれは栓抜きではなかった


それは生物学でメスを表す記号をかたどったペンダントだった


胸元で揺れるメス記号のそれを見てたら再び思い出した


高校生ん時のお気に入り
私の胸元で揺れていたペンダントを


高校2年の修学旅行
豊中からはるばる清里高原行へ行った
みんなでソフトクリームを食べた
近くで牛を見てはしゃいだ
バレー部のジュンは馬にのった
私もお金があれば乗りたかった


それから憧れおしゃれなcafe「清里ミルク」へ行き
ペンダントを購入したのだった
それは「MILK」と赤い文字で描かれていた


なんてかわいいんでしょう
しかもおしゃれな清里でかったのよぉ〜と
首からぶらぶらぶら下げていた高校時代


今冷静に考えると
「MILK」と書けばかわいいが
日本語に訳すとそれは「乳」であり
それが女子高生の私の胸元でゆれていたのだった


ぶらぶらぶらぶらぶらぶらぶら