天平の甍


元気に登校中


モットチビリンコと学校へ行こうと歩いてたら


「モットチビリンちゃーーーん」
と同じクラスのミーくんが
手を振り走ってやってきた


おーい
とこちらもこたえたら
ミーくんはコテンとこけた


あれれと近寄ると
膝小僧から血がでてる


わたしはがんがんツバつけて消毒した


「いたいからやめてーよー」
「ツバしみるー」
とミーくんが訴えた


ちょうど家のベランダから
夫が顔を出したので


「絆創膏もってきて」と伝えると


彼は絆創膏と消毒液を持って
やってきた


ミーくんは
私のツバの消毒よりも
夫のマキロン消毒に満足げであり
ぴったり絆創膏もはられ
気を取り直し学校へ向かったのだった




夫は
絆創膏もってきてと言えば
消毒液も一緒にもってくる男である


アンポンタンではないのだ




その昔
私が舞鶴にいたころ
木造施工実習という授業があった
実寸の木造の小屋を作る実習だ


みな訓練生は
ノコギリやノミやゲンノウ(かなづち)などの大工道具を持ち
木っ端にまぎれながら作業するのだった


実習中に指導のタハラ先生が声をかけた
「おーいちょっとノミ持って来てくれ」


そこでノミもってくと


「アンポンタン」
タハラ先生は言った
「ノミと言われてノミだけもってくる者があるか」
「ゲンノウも持ってこないと使えないやろ」


その通りである
アンポンタンなのだった


そんなタハラ先生のもとで
がんばった訓練生の1人アベくんは
宮大工になった


去年は興福寺の中金堂の再建工事に携わっていたという


中金堂は714年に建てられたが
歴史の荒波の中で7回も火災・再建が繰り返された
1819年に再建された建物が老朽化し現在再建中である


2018年に出来上がるそうだ


このたび私は
2012年の特別公開で行ってきました興福寺
仮金堂が公開されていた


その隣にある中金堂は
工事用のシートで覆われており
姿はまだ見えぬが相当でかい
屋根には10万枚の瓦が必要なんだそうだ


瓦を1枚1000円で購入し
そこへ墨で名前や祈願等書いて納めたら
それを葺いてくれる


私も名を書いた


アベくん木工事で
私瓦に名前書きで
再建造営に関わる


まだ5千枚しか集まってないそうだ
あと9万5千枚
みなさんも瓦へ名前書き
未来200年後の再建まで
屋根で瓦
平成の甍となりませう


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