アイーさんとハルさん

鹿児島は夫の実家だ


鹿児島の街
歩いていると
高い教育や文化を感じる


気候や日射しや風土は
なんだか高知に似てると思うけど
鹿児島と高知の決定的な違いは
文化のような気がするな


お盆には
ギボの家へ
夫の兄ファミリーも
中国の天津から帰省してた


義兄ファミリーは
義姉のハルさんと
甥っ子のタケボン(小5)だ

ハルさんと二人で天文館に出かけた
天文館て鹿児島の繁華街である


わたしの希望でパンケーキを食べに行く


鹿児島でもパンケーキだ


どこで食べても
「ふうん」という感想なのだが
どうしも食べたくなるのがパンケーキの魔力だと思う


ハルさんは
義兄の仕事の関係で
去年5月から天津で生活している


なんでも
住まいのマンションはその床面積200平米あるらしい


そして
アイーさんが週に何度か訪問して
そんな広い家中の掃除をしてくれるそうだ


アイーさんていうのは
中国語で
お手伝いさんという感じの意味らしい


アイーさんはテキパキ家事をこなす
掃除だけでなく
電気がたりなくなったりすると
注文してくれたり
めっちゃなんでもやってくれるんだそうだ


時々、焼売もつくって持ってきて
振舞ってくれるらしい


わたしもアイーさんの焼売をぜひ食べてみたい

「アイーさんが掃除してくれてる時」
わたしはハルさんに聞いた
「ハルさんは何して過ごしてるん?」


これはわたしのかねてからの疑問だ


2度目の大学へ通っていた時
お金がなくなると
アート引越センターでバイトした


引越し屋のバイトは日当だから
助かるのだ


近所にアート引越センターがあったから
アート引越センターで働いていただけで
特にサカイ引越センターでも引越しなら日通でも
日当でもらえるのならどこでも全くかまわない


このバイトで一番いやなのは
大学教授の引越しだ


大学教授というのは
本をやたらめったら所有してる


本は重いのだ


本を大きなダンボールに詰めるのは
なんとしてもやめて頂きたい


話がそれたが
アート引越センターには
おまかせパックなるものがあって


女の子だけのチームで
食器や机の中の細々した
あらゆるものを箱詰めしてあげるという
そんなサービスを
20年前からやっていた


わたしは
そのチームの一員として働いていた


おまかせパックでの引越し中
その家の人たちの行動が
めっちゃ疑問だったのだ


引越し中にもかかわらず
全く日常とかわらず
まだ梱包されてないテレビを見たり
まだ梱包されてない漫画を読んだり


こういってはなんだが
自分たちの引越しにもかかわらず
さわやかに過ごす人たち


この人たちの心情はいかに?
と考えながら
せっせと皿を新聞紙に包んで梱包していたのだった


それで
働くアイーさんを横目に
ハルさんが
どうやって過ごしているか
疑問に思った次第であり
質問したら


ハルさんの答えはこうだった


「あのね〜」
「勉強してるフリしてる〜」


中国語の勉強してるふりをして
アイーさんがせっせと掃除している時間
すごすんだそうだ


しかし勉強もふりなので
眠くなったりするそうだ


なるほど


さすがハルさんであーる


わたしはそんなわけで
ハルさんを尊敬してるのだった


まる