ベルンのミルフィーユ

夫の従兄弟のサーさんは
鹿児島の観光課に勤務しているそうだ


適任だと思う


そんなサーさんの家でバーベキュー
ご馳走になった


サーさんの奥さんはユキさんといって
こんな感じのいい人
あったことない
と思わずにはいられないような女性だ


サーさんとユキさんの子どもさんもかわいい女子たちだ


バーベキューのあと
ユキさんは
スイーツをだしてくれた


めっちゃ感じのいい彼女がたおやかに
だしてくれたそのお菓子は


ナントナント
ベルンのミルフィーユだった


ここでベルンのミルフィーユについて語らせてもらえば


この菓子は多分東京にしか売ってない


私にとってこれは
東京の土産としてもらうものであり
これを土産として持ってきてくれた人は
いままで3人である


彼らの顔を
決して忘れたりしない
ベルンのおいしさと一緒に覚えているのだ


OLだったとき取引先だった碓井鋼材の専務
加古川で上司だったフクダさん
それから東京に住むワタシの父


ありがとうありがとう3人の人たち


そんなわけで1年365日あるといえども
なかなか口にできるものではないベルンのミルフィー


わたしの中の
「もらいたい土産菓子グランプリ」第2位に鎮座する
それはそれはの好物である


そんなベルンのミルフィーユと
鹿児島の地で
まさか巡り会えるとは


露とも考えなかったのだった


しかも
それらは
普通バージョンではなく


この夏限定バージョンのミルフィーユであった


つまり、ココナッツ味とパイナップル味とオレンジ味の3種類である


なんということだろう
ユキさんの話によると
サーさんのお姉さんが関東に住んでいて
この夏、送ってきてくれたんだそうだ


わたしは
3種類とも食べたい
是非とも食べたい


会話とお酒を楽しむ大人たちと
アラジンのDVDを楽しむ子どもたちの目を盗んで
わたしは
ココナッツ味とオレンジ味を食べた


最後の一個
パイン味を食べようと
手に取った瞬間


タケボン(小5)が
「あ、ボクもそれ、食べたい!」
まったをかけてきた


ワタシが先にとったのだ
あげない、と返事をすると


タケボンは
「ボクはまだ1こしかたべてないから」
「その最後のはボクにちょうだい」
「チイちゃんは、大人なんだから」
と言った
正論であろう


しかし
いくら大人でも既に2つ食べていても
これはベルンのミルフィーユなのだ
あげたくないとがんばった


タケボンも引き下がらない


まぁ当然であろう


二人のバトルに
お酒を楽しんでた大人たちも
アラジンにうっとりしてた子どもたちも
我々に注目した


そこでわたしは提案した
「じゃんけん、3回勝負」

タケボンは受けてたった


最初の勝負でわたしは勝った


タケボンがパーをだして
ワタシがチョキをだしたからだ


普段私は
ジャンケンで
グーしかださない
面倒くさいのでいつでもグーだ


だけど
ここは勝負なのだ


グーばかりだすわけがない


気合がはなっから違うのだ
こちとら49年生きてきた気迫でじゃんけんに臨んでる
かつーーーーーーッ!


ジャンケンは2対2でジュースになり
結局その後わたしが勝ち続け
パイン味をゲットしたのだった


負けたタケボンは
悔しさで泣いた
泣いて泣いて泣きました


パイン味はうまかった
夏の味がした


だけど
やっぱり一番好きなのは
定番のヘーゼルナッツ味のミルフィーユだ


それがわかっただけでも
この勝負
価値はあったであろう


しかし
次の朝になっても
タケボンは
食べ物の恨みを忘れてはいなかった


「チイちゃんは、3こも食べて!」
と不満爆発であった


その日タケボンと一緒に
「親戚対抗下伊敷大トランプ大会」を企画して
やっとやっとタケボンに
ベルンのミルフィーユ事件を私は許してもらえたのだった