バレンタイン

バレンタインだ


土曜日ゆえ
モットチビリンコはちゃりにのって
チョコレートを各戸へ配りに行くという


それでわたしもつきあって
ふたりしてふらふら出かけた


途中でわたしはローソンにて
コーヒー買ってちびちび飲んた


紙コップ片手にちゃりをこいでいたら


「チイ、そんなんしてたらあぶないで!」
モットチビリンコに注意された


と思ったら
ころりとコケた


「大丈夫ゥ?」
と声かけて
よっこらしょっとモットチビリンコが
荷物をひろったり助けてくれた


「チイ、大人なのにコケるし、犬に噛まれるし…」
「みんな、みてたで」
と彼女はあきれた


そういえば
わたしはこないだ
犬に噛まれたのだ


ふらふらと
チャリにのっていたら


近所のオマメちゃんていう犬が
一人で通りを澄ました顔で歩いてた


オマメちゃんは脱走したのだ


自由を謳歌している最中だったのに
わたしに出会い
「あ!オマメちゃん!」
と声をかけられ
立ち止まってこちらをみた


「ひとりでふらふら歩いてたら、危ないでっ」
と彼女へ忠告したが


オマメちゃんはフンと私を一蹴したのだった


それで首輪を掴み
一緒に帰ろう、と提案したら


オマメちゃんはめっちゃおこりだした


ううううううぅぅぅぅ〜ッッッ
っと唸り出し
鼻に筋をいれておこった


そんなおどしに屈するわたしではない


「キミのタメをおもって言ってるんや」
と諭しても
彼女は一向に「そうだねありがとう帰るよ帰ります」という態度にはならず
ついにわたしの手をがぶりと噛んだのだ


めっちゃ痛かったが
わたしとて
ここで負けてはいられない
意地をみせて
「オマメっ!」
と威厳をみせたら


更に強く噛まれた
エーン


一緒にいたモットチビリンは
この状況に
こわくなって逃げようと腰がひけてた


噛まれた手と
掴んでる手が
拮抗し
両者一歩も譲らず


そんな状態がしばらく続くと


流石にいたくなってきた


首輪をはなして
「もう、しらないよっ」
「どこにでも行っちゃいなっ!」
と捨て台詞を吐いたところで


オマメちゃんちのお母さんが車で通りかかった
そして
一部始終を聞いて
オマメちゃんは
お母さんにめっちゃ怒られた


わたしは後日
お詫びに
北六甲カントリークラブ焼プリンを頂いたのだった


上のほうが濃厚でかたくてチーズケーキみたいなプリンだった


ひとりで4瓶たべた


めっちゃおいしかったです