つばをとばす

まどろむような陽射しに
これからちょっと昼寝いたすでござる


新学期がはじまった
わーい


通常通りの日常はしあわせ
子どもたちよ
学校でたくさん遊んで学んできておくれ


高校んとき
学校帰りに
友人ガキミちゃんちいくと
5歳の弟がいつもいた


わたしは最初
彼と仲良くなり


4階か5階のベランダから
ぺっっぺっとつばをはくという
当時
何がたのしいのかわからない遊びを
よくしたものだ

「見てみてッわたしなんて」
おそらくこんな感じだったとおもう
「こんな遠くまで飛ぶんやでーーーーぺっ」


5歳の彼と競うようにつばを飛ばしながら
口がからからになり


がきみちゃんにジュースをもらい
口をうるおし


それからハッピーターンなど食べ


腹が膨れれば
再び彼とベランダで
つばをとばして遊ぶ


高校2年生でなにをしてたのかと思う


ところがそんな平和な二人だったが
急に喧嘩がはじまり


5歳男子は
わたしにつばをブーーーっと飛ばしてきた


わたしも負けずにつばをはきかえした


しばらくふたりでつばをかけあって
勝負は拮抗してたのだが


それも続くとばからしくなり
わたしはもうやめる
といった


だが
5歳男子の持久力と根性はすごいもので
かれは優勢にたち
わたしにつばを浴びせ勝利を目前に控えたのだった


わたしはまったくいやになり
ないた赤鬼の青鬼みたいに
玄関から逃げ帰ったのが


彼と遊んだ思い出となった


そんな彼も40歳になり父となったらしい
ガキみちゃんにいわせると
「おっさんやで、もう」


月日はかなり流れたが
ベランダでいっしょにつば飛ばした事が
まったくもって
わたしには先ほどの出来事のように
おもえてならないのはどうして?


こんなとき
わたしは時間てすぐに飛び越えられるものだと
思うのだ


だから
いま、わたしが昼寝から起きたら
120才の老婆かもしれないと
思うのだ