きおくのかたすみに

阪神打出でおりて
踏切開くのまってたら


リューくんがいた
リューくんは双子だ


リューくんマーくん


チビリンコと
保育所で一緒だった


わたしは自信をもって
「リューくん」
と呼んだ


彼は反応せず
まっすぐ前をみてたので


ネクス
「マーくん」
と呼んだ


すると彼はこちらをむいて
ダレ?
という顔をした


まぁ会うのは6年ぶりくらいだから
仕方ない


「学校は?」
質問すれば


「午前中、マラソン大会で」
誰かわからぬ女の問いに彼は答えた
「はやく終わったっす」



踏切が開いたので
一緒に歩いた


「リューくんは?」
と聞くと
「あ、ボクがリューで」
「マーとは高校別々です」


そぉかぁ
双子だからって
高校も一緒ということはない


しかし
一人の彼らにはじめて会った


いつもリューくんマーくん一緒だったから


リューくんは背も伸びて
とても感じがよい男子になっていた


別れる時
「チビリンコのおかあさん」
と自己紹介すると


あ、とリューくんは言った


記憶のかたすみに