卒業式

卒業式だった


私の横にヒロミさんがすわった
彼女はこの中学の卒業生であり
本日は卒業生の母


わたしはヒロミさんが好きだ


3年前
一緒にPTA役員やったとき
守ってもらったことがある


ヒロミさんはちょっと疲れている様子だった

元気づけたいな、と思った



生徒たちが校歌を歌っていた時
小さな声でヒロミさんも一緒に歌っていた


とてもきれいな声だった


うっとりするくらいすてきだった


だれかの力になろうとか
勝手に私が考えて
できるわけないのだ


おそらく
だれかの力になっているとしたら
それはしらないうちに
なってるだけだ


だから他人のために
なにかしてあげようなんて
それはもう考えまい


だれもだれかの人生に介入できない


私はわたしの人生にのみ没頭することができる
私以外だれも没頭できはしない